養蜂支える人々

 今年の雨季前半は、雨が少なく、タイ全土で水不足が深刻化し、農業にも影響が出ていました。しかし、7月下旬から8月にかけて、北部タイを中心にまとまった雨が降るようになり、現地の養蜂場でも順調にローヤルゼリーの採乳が続けられています。また、巣箱の方も900箱近くまで分蜂が進んでいるそうです。

 最近、タイ国内でも、日本と同じように若い人達が重労働の仕事を避ける風潮にあり、実際、チェンマイ市内の建設現場やレストランで働いているのは、ミャンマー人などの外国人労働者が大勢を占めています。養蜂の現場でも同じような問題が起こっていますが、いつも養蜂場の見学などでお世話になるワーンヌア郡のマヌーさんのグループは、メンバーの平均年齢も若く、役割を分担しながらうまく回っているチームの1つです。

 奥さんであるエーンさんは16歳から働いています。彼女はメーホーンソーン県パーイ郡出身で、以前は違うところで養蜂の仕事をしていました。しかし、その業者が張さんに巣箱を売却した際、働いていたいた人も一緒に再雇用されたそうです。そして二人は同じ仕事場で出会い、実にそれ以降20年以上にもわたり、共にミツバチに関わってきたことになります。  数年後に2人は一緒になり、息子さんが1人生れましたが、今ではもう19歳になっています。仕事の関係もあり、息子さんはずっと幼い頃から親元の祖父母に預けられていました。現在は専門学校で自動車整備の勉強をしていますが、学校が長期休みに入ると、 息子さんも養蜂の手伝いに来るそうです。  生き物を扱う仕事なので、休日はソンクラーン(タイのお正月)に数日間、それと大晦日と元旦のみで、1週間以上、巣箱を放置しておくことはできません。作業の合間に、周辺で巣箱を置ける場所を探したり、忙しい時は助っ人を探しに行くのもマヌーさんの役割です。ちなみに巣箱を置く場所は、適当な木陰があることは当然ですが、必ずしも龍眼(ロンガン)などの果樹園でなくてもかまいません。近辺の蜜源へ飛んでいきやすいようにマンゴー園、ゴム園など、平坦で見通しの良い場所も適しているそうです。

 マヌーさんに、「趣味は何ですか?」なんていう愚問をしたら、「時間が空いたら仕事をしている。」という返事でした。本当に仕事が好きで、養蜂一筋のようです。「ハチに刺されることはないですか?」の問いには、「毎日のように刺されているので、もう慣れっこになった。」と笑いながら答えてくれました。マヌーさんとエーさんご夫妻、1日1さじの生ローヤルゼリーを食べているので、もう何年も大病にかかることなく元気に暮しているとのことでした。  この時期は、ワーンヌア郡を拠点に養蜂を営んでいるため、近くに1軒屋を借りています。残りのメンバー2組も結婚しており、そこに15歳のナッタポンくんが加わって、全員が一つの大きな家族として共同生活をしています。いろいろな人達の関わりや支えがあって、こうしてローヤルゼリーを日本へお届けすることができています。

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現地レポート

2015年9月号


<写真の解説>

1...ローヤルゼリーの採乳時のスタッフの仕事風景

 

2...ゴム園の中に置かれた巣箱。

 

3...巣箱の確認をするマヌーさん

4...マヌーさん夫妻

 

5...トーイさんは働きはじめ3年ぐらいで、奥さんのティップさんはチェンラーイ県出身。

 

6...カレン族のナッタポン君。マヌーさんと同じ、14歳から働き始める。

 

7...車庫の奥には空の巣箱が山積み。

 

8...借家の裏では、女王バチを育てている。

 

9...全員一緒に暮らす借家。

 

10...10年以上のキャリアを持つボーイさんと、ネーンさん夫妻。

 

11...ここからピックアップ車に巣箱や道具を積んで出かける。