シーズン到来 ローヤルゼリー

 タイにある友愛養蜂場は、いくつかのグループに分かれて、数ヶ所で養蜂を行っています。6月初め、チェンマイ市内から車で約2時間弱のワンヌア郡に、その養蜂チームの一つを訪ねて来ました。このチームは、養蜂に携わって20年のマヌーさん夫妻をリーダーとして、7人全員が家族のように1軒屋で暮らしながら、日々の養蜂作業に取り組んでいます。

 今年は6月からローヤルゼリーの採乳が始まったのですが、天候不順、あまり雨も降らず採れる量はまだ少ないとのことでした。この時で、周辺の果樹園など12ヶ所、各場所には約70巣箱を置いていました。1日に2ヶ所で採乳し、1ヶ所で約1kgのローヤルゼリーが採れるそうです。

 マヌーさんとエーンさん夫妻は、お二人とも養蜂歴が20年を超えるスペシャリストです。マヌーさんは、14歳からこの道に入り、今ではリーダーとして、巣箱を置く場所を探して地主さんと交渉したり、若い人たちに養蜂を指導する立場となりました。(写真3)エーンさんも16歳から働き始め、ずっと移虫の作業をしていましたが、今は後進に指導する側になりました。(写真4)

 人工王台から幼虫を取り出しているのは15歳のナッタポン君。彼のお父さんはマヌーさんを信頼し、息子を預けています。第2のマヌーさんのように育っていくのかが楽しみです。(写真5)また、移虫の細かい作業をするのは、20代のティップさんとネーンさんです。(写真6)養蜂、特にローヤルゼリーの採乳は、とても細かい仕事になるので、このように若いスタッフの力が必要です。

 今年は6月からローヤルゼリーの採乳が始まったのですが、天候不順、あまり雨も降らず採れる量はまだ少ないとのことでした。この時で、周辺の果樹園など12ヶ所、各場所には約70巣箱を置いていました。1日に2ヶ所で採乳し、1ヶ所で約1kgのローヤルゼリーが採れます。

 北部タイでの養蜂暦を整理してみますと、まず、2月下旬に「龍眼(ロンガン)」のハチミツを採蜜するためチェンマイへ移動し、4月初旬頃まで続きます。それが終わると、ワンヌア郡に戻り態勢を整え、ローヤルゼリーの採乳が始まるのは6月に入ってからです。採蜜で減ってしまったミツバチを増やすために、並行して巣分け(分蜂)の作業が続きます。そして10月下旬になると、さらに少し南下してガーオ郡で花粉を集めながら、ローヤルゼリーの採乳をすることもあります。

12月、1月頃から2月にかけてはミツバチの休養期間として、その後に始まる採蜜に備え、こうして1年が巡っていきます。

 ご存じのようにローヤルゼリーは、女王バチを育てるための特別食です。同じようにメスの幼虫として生まれても、ローヤルゼリーだけを食べると女王バチに、途中からハチミツや花粉を食べると働きバチになります。 

 女王バチ候補を育てるための専用の個室を「王台」と言い、普通の巣房(6角形の部屋)に生みつけられた卵は働きバチになります。ところで、一つの巣箱に女王バチは1匹しかいませんが、巣に女王バチがいない状態にすることで、働きバチは幼虫にローヤルゼリーを与え、新しい女王バチを育てようとします。この習性を利用して、自然の王台を模した人工王台に働きバチの幼虫を移虫し、女王バチとして育てさせるのです。

 日本の養蜂家は、女王バチが来れないように金網の「隔王板」と呼ばれる道具を使って、女王バチと隔離されたところに人工王台を入れています。しかし友愛養蜂場では隔王板を使わず、産卵がすんだ巣枠の間に入れることで、巣箱の中に女王バチがいない状態をつくっています。

 女王バチは、最盛期に1日2,000個以上の卵を産み、寿命は3~5年とも言われていますが、友愛養蜂場では、産卵力の強い若い女王バチを必要とするため、1年を目安として交代させています。普段から巣箱内の点検は重要な仕事の一つですが、その際、必ず女王バチの有無と産卵の状態を確認しています。

 

 ローヤルゼリーの採乳をしながら、採蜜で減ってしまったミツバチを増やすための巣分けも、この時期の大切な作業です。計画的に女王バチを増やしているのは、自然の女王バチよりも、自分たちで育てた方が大きくて丈夫だからです。では、具体的にどのような方法でミツバチの巣分けをしているのでしょうか。(次回に続く!!)

PDFをダウンロードできます。


ダウンロード
7月号small.pdf
Adobe Acrobat ドキュメント 811.2 KB

現地レポート

2015年7月号


<写真の解説>

1...養蜂場の採乳風景。このメンバーが一つのチームとなり、それぞれの工程を分担してローヤルゼリーが採乳される。

 

2...チェンマイ友愛養蜂場の総責任者、張 榮参氏。37歳で来タイし、現在 72歳だが、現場で自ら作業をしながら指導している

3...マヌーさんとエーンさん夫妻

 

4...幼虫を取り出すエーンさん

 

5..王台の掃除をする15才のナッタポン君

 

6..移虫の細かい作業をするティップさんとネーンさん

 

7...働きバチが産卵する女王バチを取り囲む

 

8...人工王台

 

9..竹ベラで一すくい、約0.3gのローヤルゼリーは、年間を通じた養蜂の集大成

 

10..近くで栽培されているスィートコーンの花から蜜を集める働きバチ